商品番号  0021
在庫  在庫あり
サイズ  14.00 x 19.50cm
6,480円
税別  6,000円

北斎が「漫画」として描いた絵はとてもたくさんあるので、版画の題材として面白味のある作品は、一生かかっても復刻しきれない程あります。もちろん、全部を手掛けようなどと考えているわけではありません。私に残された、あと50年かそこらの人生では、とうてい時間が足りませんから。そうでなくて、なにかちょっと趣の変わった題材が欲しい時に、この中から面白い絵を探してみたいと思っています。昔の日本の伝統木版画は、どちらかというと、あまり情感に訴えるような物ではありませんでした。美しいのですがどこか冷ややかで、表情豊かなぬくもりに欠けるのです。でも北斎の、中でも漫画の中で描かれた絵は、人々の日常生活をつづれ織りにしたようです。


この絵にあるのは、間違いなく生身の人たちです。筆で、ほんの大雑把に描かれているのにもかかわらずです。天賦の才とはこの事なのでしょう。臨終の床で、泣きながらこんな事を言ったと云われていますが、彼のもっていきどころのない口惜しさが伝わって来るようです。「ああ、もう10年私を生かしてくれるなら!いや、もう5年だけでもいい。そうしたら、真の絵師になれるのに!」