商品番号  0014
在庫  在庫あり
サイズ  20.50 x 15.50cm
6,480円
税別  6,000円

江戸時代や明治時代の木版画は、すべて毛筆の原画をもとに作られていますが、それは2つの系統に分けられます。もっとも一般的なのは、その絵から版下が作られることを考慮しながら描くという方法です。絵師は、自分の筆の線が、彫られた線に置き換えられることを知っていますから、そのことを意識しながら描いていきます。大多数の浮世絵版画はこのようにしてできました。もうひとつは、すでにある絵を版画にするやり方です。絵師は、版画のことなど考えていませんから、版画にしたら筆の流れがどのようになるか、などということは気にしていません。ですから、そういった絵を版画にする時には、彫師がとても苦労をします。


この版画は、「編曲」された版画にあたります。もとになった毛筆画は柴田是真の描いたもので、後に「柴田是真画譜」という本として出版されました。おそらく1880年代と思われます。(もちろん私は、版画になった方を復刻していて、原画となった毛筆画は見たことがありません。)版画になった絵はその原画よりも優れているかどうか、などという事はどうでもいいことです。私は、この版画を彫る時、筆の持つ即時性や偶然性を捕らえようと努力しました。ただ忠実に同じものを作ろうとはしませんでした。出来上がってみると、これ事体なかなか良い作品だと思います...それだけではなく、毛筆画としての存在は一枚だけなのに、こうしてひとたび版画になれば、たくさんの人が楽しめるのです...


是真は奇抜な絵を描いたことで有名です。絵をかどの方にまとめてしまい、あとは空白のままにしたり、絵の中の大切な要素を完全に取り除いてしまったり。またこの絵のように、部分を歪めたり切り取ったりするので、最初に見た時には一体何の絵なのか当惑してしまいます。でも、ほんのちょっとたてば見分けがついてきて、屋根瓦が合わさっていて、その下に竹でできた雨樋があること、雀の巣がその隙間に押し込まれたようにあることも分かってきます。