受け継がれた技法による現代の作品づくり。


木版館による伝統木版画制作とその技術

江戸時代、印刷技術の一つであった木版画は、現在その高い技術でも世界に知られています。
中でも「浮世絵」は高度な技術の結晶とも言えるでしょう。

伝統木版画と呼ばれる作品は、その一枚を制作するに当たって、版元(出版社)の指示のもとに、 絵師、彫師、摺師が分業でそれぞれの行程を請け負います。そして現在でも、伝統木版画は江戸時代同様に分業により作品を生み出しています。

現在、木版館では江戸時代の作品の復刻版や、現代の木版館オリジナル浮世絵を、絵師、彫師、摺師と協力して新たな作品を定期的に制作・販売し、世界中の方に木版画の魅力を楽しんでいただいております。

一枚一枚が全て手作りながら、優れた品質へのこだわりを持っていますので、どの作品においても木版画本来の美しさと、伝統木版画の技術を感じられると存じます。



制作の良し悪しを決定する大事な材料

伝統木版画を制作するために必要な基本材料は次の5つです。

和紙 … 伝統木版画の味を出すために必須の要素。何百年もの伝統を持つ手漉き和紙を使います。

山桜 … 彫線の美しさを際立たせ摺りの磨耗にも耐える山桜。江戸時代から最高の素材とされています。

絵具 … 粉末を水で溶いて使います。数種類の基本色のみを用い、混合バランスで伝統色を作ります。

道具 … 中でも大切なのは本バレン。漆仕上げの枠と撚った竹の皮の芯で作られた高価なものです。

 … 以上の材料を総括するのが技。完全手作りの作品なので、職人の腕と誇りが勝負です。



美しい木版画が生まれる行程

版下制作
最初は版下制作です。江戸時代と同じくごく薄いガンピ紙に筆で線をなぞってゆきます。
出来上がった版下を、表を下にして版木の上に貼り付けます。版木の表面はつるつるにヤスリがかけられています。

彫りの工程
透けて見える墨の線を、残すように彫り進めます。この工程は数週間かかります。
どんなに細かな彫り間違えも、摺った作品に表れますから、緊張のいる作業です。
彫の完成した版木は、それ自体が美しい作品のようです。この後同じ工程が色版すべてに繰り返されます。

摺りの工程
刷毛を使い、絵具を薄くまんべんなく載せます。一回に一色だけです。
紙を載せて裏からバレンでこすると、絵の具が和紙の中に浸透します。

作品完成
和紙の感触、彫刻刀の切れ味、走る筆の勢い、柔らかい顔彩の色調 … 伝統木版画の「美」が集約されています。