商品番号  0001
在庫  在庫あり
サイズ  20.50 x 19.00cm
8,640円
税別  8,000円

1890年代の初期、兵庫県の明石にあった版元が、江戸時代の摺物をたくさん復刻していました。現在、日本にはあまり残されていないということなどから、顧客のほとんどは当時神戸に住んでいた外国人だった、というのが研究者の見解です。ここから出版された版画は、現在「明石版」と呼ばれていて、この作品はその中のひとつです。

明石版はとても素晴らしい作品ばかりで、書の部分は巧みに彫られ、摺には高い技巧を凝らしています。 江戸時代の作品との違いは和紙にあり、昔のものには「どうさ」が引かれていてない、あるいはかすかにしかそれが見て取れないという点でしょうか。

デービッドは、百人一首シリーズの完成パーティーにいらしたゲストへのプレゼントとして、1989年にこの作品を制作しました。 木版館の版では、同じ版木を使い、沼辺伸吉氏が摺を担当しました。

歌の説明

岳亭は、大阪の狂歌仲間だった大江連(作品の右上)に依頼されてこの絵を画いたようです。赤を基調とした摺物が3つ連続して作られていて、これはそのひとつ、新年の初日をテーマにしています。

いつくともしら玉姫やしらふらんかすみにこもる松風のこと
(いづくとも白玉姫や調ぶらん霞に籠もる松風の琴)

    草廼屋春道(くさのやはるみち)

どこにいるとも「知ら」れないが、その「白(しら)」玉姫(霞の異名)が、霞にこもった松の琴(松籟=松に風が吹いて鳴る音)を調べている(=弾いている)のであろう。

「知ら」と「白」が掛詞(かけことば)になっています。霞のことを擬人 化して「白玉姫」というのに引っかけて、松のこずえを吹く風が音を 鳴らすのは、霞の女神、「白玉姫」なのだろうよ、としゃれたものです。

春の花うこくあしたのあけからす霞の袖にすみやつけゆく
(春の花動く朝の明烏霞の袖に墨やつけゆく)

    文廼屋梅枝(ふんのやばいし)

春がやってきて、その東の風に花も動く、その初春の日の出のなかを鳴きながら帰って行く明け烏(ねぐらに帰る烏)は、霞の衣の袖に墨をつけているのだろうかねえ。

「春の花」のところは意訳。「明烏」は落語の題名にもあるように、朝帰る烏の鳴き声をさしています。ここでは、霞を衣にたとえて、烏の姿をその袖に飛び散った墨汁に見立てています。

クローズアップした画像をいくつかご紹介します。